遺伝子診断(国立がん研究センター中央病院の場合)

≪網膜芽細胞腫の遺伝子診断≫

対象:網膜芽細胞腫の患者又は遺伝性網膜芽細胞腫の患者の血縁者に係るもの

従来の染色体検査(採血量5ml)に加えて、以下の検査を実施する。

1)発端者診断
  網膜芽細胞腫を発症した患者であって、原則としてその家系で最初に当該遺伝子診断を実施する外来を受診した者を、「発端者」と呼ぶ。
 発端者から約2ml採血し、血中の白血球からDNAを抽出する。
これらを用いて、
RB1遺伝子の全タンパク質コード領域およびプロモーター領域内の塩基配列解析、およびRB1遺伝子の欠けている部分や増えている部分がないかを確認する解析」
を行い、網膜芽細胞腫の原因と考えられる遺伝子変異を同定し、遺伝性網膜芽細胞腫であるか否かを診断する。

※但し、検査法については今後、さらに検出感度を高めるために、別の種類の検査を追加する等の変更も考えられる。2020年6月現在、追加検査は臨床研究での対応となる。

2)未発症血縁者診断
  1)の検査により、発端者のRB1遺伝子における変異が同定されていることが前提となる。
 未発症であるが発端者と家系を同じくする者(血縁者)から採血し、RB1遺伝子の塩基配列を解析する。
 血縁者のRB1遺伝子に当該発端者と同じ変異が認められた場合、当該血縁者は遺伝性網膜芽細胞腫を発症する遺伝子変異の保有者であると診断される。
 変異保有者に対しては、眼底検査等を計画的に実施し、早期発見に努める。

≪遺伝子診断に係る費用について≫

1)発端者診断(保険適用)
●遺伝学的検査(FISH法=染色体の検査):30,280円のうちの自己負担分(3割負担なら9,840円)
●遺伝学的検査(PCR法):50,000円のうちの自己負担分(3割負担なら15,000円)
上記の片方の検査で病気の原因となる遺伝子の変化が検出されれば、もう一方の検査をする必要はありませんが、両方の検査を一度に実施するケースもあります(個別のご希望などによって対応しております)。

上記の他に、採血料等がかかります。
また、遺伝学的検査の結果を聞く際には、遺伝カウンセリング加算として、10,000円のうちの自己負担分(3割負担なら3,000円)がかかります。

2)未発症血縁者者診断(保険適用外)
自費診療となります。
発端者の遺伝子変異が確定している場合にのみ、検査対応が可能です。
検査費用は、遺伝子変異のタイプによっても異なりますが、34,000円~35,000円ぐらいです。また、自費で遺伝子検査をする場合、検査前後の外来受診費用も自費になります。(国立がん研究センターの場合、初診11,000円(遺伝子検査実施日)/再診6,600円(検査結果を聞く日)です。)

≪遺伝相談外来≫

毎週火・木曜日 午後
相談のみの受診料は通常の保険診療となります。

*ポイント*
発端者が遺伝子診断で遺伝性網膜芽細胞腫と診断された場合のみ、血縁者の診断に進むことができます。
保険適用の自己負担分は、小児慢性特定疾病医療費助成制度や子ども医療費が適用されます。
遺伝子診断に関心がある場合は、国立がん研究センター中央病院の遺伝相談外来を受診し、医師とよく相談して、何のために検査するのか、よく理解した上で、遺伝子診断を受けることをおすすめします。

                            (2020年6月更新)