網膜芽細胞腫ってどんな病気なの?

 

 網膜芽細胞腫は小児に発症する目のがんです。15,000人の出生児に1人の頻度で発症し、人種・性別による差はありません。日本では現在年間70~80人が発症しています。

 目の中にある光を感じる網膜から生じ、片方の目だけの場合を片眼性(片側性)、両方の目に生じた場合を両眼性(両側性)といいます。65~70%が片眼性、 30~35%が両眼性です。

 同一家族内に複数の発症者がいる場合を家族性といいます。親から子に遺伝子の異常が引き継がれると発症しますが、これを遺伝性といいます。網膜芽細胞腫の場合には、家族性と遺伝性はほぼ同じことを意味しています。両眼性の全てと片眼性の約15%が遺伝性と考えられています。

 

【 原 因 】
 RB1遺伝子(Retinoblastomaから命名)の病的な変化で発症すると考えられています。 RB1遺伝子は、13番染色体の長腕(13q14.2)にあり、細胞分裂を制御しています。これが働かなくなると細胞分裂のブレーキが利かなくなるので細胞ががんになってしまいます。 “がん抑制遺伝子”とも言われ、細胞をがんにならないように働いている遺伝子です。

 

【 症 状 】
 目の症状としては、白色瞳孔、斜視、結膜充血、低視力、角膜異常、眼瞼腫脹、眼球突出などがあります。「黒目が白く見える」「黒目がくすんでいる」などの状態を白色瞳孔といいます。暗いところで光が入ると光って見えるため、猫目(cat's eye)ともいいます。ただし、白色瞳孔を示す他の疾患もあります。
 全身の症状として、眼痛のため元気がない場合もあります。染色体異常を伴う場合には多指症、耳の形の異常、精神発達遅滞を伴うことがあります。